強盗罪
2026.01.25
- #財産事件
強盗罪
強盗罪に関する条文
(強盗)
第236条
第1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期拘禁刑に処する。
第2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
成立要件
強盗罪は、「暴行」または「脅迫」を用いて、他人の財物を「強取」した場合に成立します(刑法第236条第1項)。
「暴行」とは、身体に向けられた不法な有形力の行使をいいます。
「脅迫」とは、害悪の告知をいいます。
「暴行」、「脅迫」は、相手の反抗を抑圧するに足りる程度であることが必要です。例えば、拳銃やナイフを突きつける行為です。
反抗を抑圧するに足りる程度かどうかは、暴行・脅迫の態様、犯行場所、犯行時刻、周囲の状況、相手の性別、年齢、体格等を考慮して具体的に判断されます。同じ「暴行」、「脅迫」行為であっても、状況に応じて、強盗罪にあたるかが判断されるということです。
「暴行」、「脅迫」が反抗を抑圧するに足らない程度と評価されれば、恐喝罪(刑法第249条参照)に該当し得ます。
「強取」とは、相手の反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫を手段として、財物の占有を自己または第三者に取得させることをいいます。
相手から奪取した場合のほか、相手が交付した財物を受領することも、それが相手の自由な意思に基づくものでない限り、「強取」にあたります。
同様の方法により「財産上不法の利益を得」、又は他人にこれを得させた場合にも同罪が成立します(刑法第236条第2項)。
「財産上不法の利益を得」とは、不法に財産上の利益を得ることをいいます。財産上の利益とは、本条第1項の財物以外の財産上の利益を指します。例えば、役務の提供を受けることや債務を免除させる行為です。
具体的事例
以下、強盗罪にあたる具体的な事例を見てみましょう。
強盗罪にあたる事例
夜道で通行人に対し、刃物を突きつけて「金を出せ」と脅し、現金を奪った。
刃物を突きつけて「金を出せ」と脅す行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫と評価されます。これにより財物を取得しているので、強盗罪にあたります。
民家に侵入し、居合わせた住人を殴って気絶させた上で、現金や貴金属を持ち去った。
殴って気絶させた行為は、反抗を抑圧したと評価されます。これにより財物を取得しているので、強盗罪にあたります。
原動機付自転車で追い越しざまに、相手の所持するバッグをつかんで引っ張り、相手がバッグを離さなかったため、そのまま原動機付自転車を発進させ、相手を引きずって転倒させた上で、バッグを奪った。
原動機付自転車で、相手を引きずって転倒させる行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行と評価されます。これにより財物を取得しているので、強盗罪にあたります。
タクシーに乗車し、目的地で降りる際に運転手に対し、首を絞めながら「料金は払わない、降ろせ」と脅し、料金を支払わなかった。
首を絞めて「料金は払わない、降ろせ」と脅す行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫と評価されます。これによって、本来支払うべき運賃という財産上の利益を得ているので、強盗罪にあたります。
債権者に対し、刃物を突きつけて「返済を請求するな」と強要し、返済義務を免れた。
刃物を突きつけて「返済を請求するな」と強要する行為は、反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫と評価されます。これによって、返済義務を免れるという財産上の利益を得ているため、強盗罪にあたります。
不起訴処分獲得に向けた弁護活動
2024年の検察統計調査によれば、強盗罪の起訴率は41.9%であり、直近5年間でも概ね同水準となっています。つまり、強盗罪では約2件に1件以上が不起訴となっており、適切な弁護活動によって不起訴となる可能性があります。
認め事件(被疑事実を認めている事件)の場合
不起訴処分の可能性を高めるうえで最も重要なのは、被害者との示談成立です。示談によって被害者の処罰感情が和らぎ、被害が回復されたと評価されれば、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。
弁護士は、まず事実関係を整理したうえで被害者と連絡を取り、示談交渉を行います。示談の内容には、本人が真摯に反省して謝罪していること、慰謝料等の支払い、被害者が本人を許し、処罰を求めていないこと等を盛り込みます。
また、勤務実績や社会的立場、家庭事情に関する証拠、反省の程度や再犯可能性が低いことなどを示す客観的証拠を収集します。これらの資料をもとに検察官と協議し、必要に応じて意見書を提出します。検察官に「社会内で更生が可能である」という印象を与え、処罰の必要がないと判断されれば、不起訴処分の可能性が高まります。
否認事件(被疑事実を認めていない事件)の場合
本人からの聞き取りを十分に行ったうえで、現場の確認や被害者等の事件関係者からの聴取、被害者とのメールやSNS等でのやりとり、防犯カメラ映像の保全などを通じて、本人にとって有利な証拠を集めることが不起訴処分獲得のために重要です。
こうした活動により、暴行・脅迫の事実が存在しないこと、暴行・脅迫が反抗を抑圧する程度ではなかったこと等を主張していきます。
捜査の初期段階で、本人が強盗行為を行ったことを窺わせるような内容の供述調書を取られてしまうと、その後にその内容を否定するのが難しくなります。そのため、初期捜査の段階で本人にとって不利な証拠を作られないように、取調べ対応について打ち合わせを重ねたり、取調べに弁護士が同席したり、場合によっては取調べを拒否する等の対応を行います。
いずれの場合でも、早期に弁護士が関与し、証拠保全や交渉を開始することが不起訴処分獲得の鍵となります。