柊南天コラム

2025.05.19

  • #雑感

柊南天法律事務所の由来

弁護士の下東です。

「柊南天法律事務所」という名称は、縁起の良い魔除けの木とされる「ヒイラギナンテン」にあやかって名付けたものです。
もっとも、その背景には、もう一つの個人的なルーツがあります。

私は20代前半、東京都内の植木屋で植木職人として勤めていました。
その植木屋の棟梁の自宅には、都内としては比較的大きな庭園がありました。
庭園にある樹木の手入れは、職人たちの仕事であると同時に、剪定技術を磨くための重要な題材でもありました。

そこには全長40メートル程の柊木犀(ヒイラギモクセイ)の生垣があり、私は毎年その刈り込みを担当していました。
棟梁の自宅の生垣ですから、仕上がりには一切の妥協が許されません。
生垣は平面をまっすぐに整えなければ、途端に見栄えが悪くなります。
そのため、刈り込みばさみを生垣と平行に構え、柊木犀に接近した立位置で作業を進めていきます。
すると、柊木犀の葉が手に刺さり、チクチクとした痛みが走ります。手袋なしではとても作業できません。
ヒイラギを冠する樹木は、「鋸歯(きょし)」と呼ばれるギザギザの葉を持っており、これが外部からの侵入を防ぐ役割を果たします。
この性質から、古くより邪気を防ぐ縁起の良い木、いわば“生きたバリケード”として防犯面でも評価されてきました。
当時その合理性に感心したことをよく覚えています。

こうした経験から、当初は「柊」や「柊木犀」を事務所名に用いることも考えていました。
そのような折、裁判所の敷地内に柊南天が植えられているのを目にしました。
柊南天は、柊の「魔除け」と、南天の「難を転ずる」という意味を併せ持つ、いわば二重の御利益を備えた木です。
公道や公共施設の植え込み、一般家庭の庭先などでも目にすることがある、身近で親しまれた存在でもあります。
私自身、植木職人として実際に植樹した経験もあります。

こうした柊南天の持つ意味合い、日常の中に自然と溶け込んでいる親しみやすさ、そして植木職人としての原体験、これらを重ね合わせた結果、「柊南天法律事務所」という名称に行き着きました。