逮捕・監禁罪

2026.01.25

  • #暴力事件

逮捕・監禁罪

逮捕・監禁罪に関する条文

(逮捕及び監禁)
第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の拘禁刑に処する。

成立要件

逮捕及び監禁罪は、不法に、人を「逮捕」し、または「監禁」した場合に成立します。

「逮捕」とは、人の身体に対して直接的な拘束を加えて、その行動の自由を奪うことをいいます。例えば、ロープで手足を縛ることです。
「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能または著しく困難にすることをいいます。例えば、部屋に鍵をかけて閉じ込めることです。
「監禁」は、必ずしも物的施設を必要とするものではありません。監禁される一定の場所が、区画された場所でなくても同罪が成立し得ます。また、物理的には脱出が容易であっても、暴行、脅迫や欺く行為により、その場を立ち去ることを著しく困難にした場合にも、同罪が成立する場合があります。

逮捕及び監禁罪は、行動の自由を侵害する犯罪ですから、行動の自由を侵害したといえる程度の時間の継続が必要です。瞬時の拘束は、逮捕及び監禁罪ではなく、その手段により暴行罪(刑法第208条参照)に該当し得ます。

具体的事例

逮捕及び監禁罪には、様々な類型があります。
以下、逮捕及び監禁罪にあたる具体的な事例を見てみましょう。

逮捕及び監禁罪にあたる事例

腕をつかんで相手の意思に反して、別の場所へ連れて行き、相手が帰ろうとするところをその進路を塞ぎ、帰れなくした。

帰ろうとする相手の進路を塞ぎ、帰れなくすることは、人の身体に対して拘束を加えて、その行動の自由を奪う行為と評価されるので、逮捕罪にあたります。

部屋の出入り口に大きな物を置いて、外に出られないようにした。

部屋の出入り口に大きな物を置くことは、一定の区域から出ることを著しく困難にしたものと評価されるので、監禁罪にあたります。

自動車の走行中に、本人が「降りたい」と言っているにもかかわらず、ドアをロックしてそのまま走行を続けた。

走行している自動車から降車することは困難であり、一定の区域から出ることを著しく困難にしたものと評価されるので、監禁罪にあたります。

相手に「動いたら、酷い目に遭うぞ」と脅して、恐怖でその場から離れられなくした。

物理的には脱出を困難にしたとはいえなくても、心理的にその場から離れることを著しく困難にしたものと評価されるので、監禁罪にあたります。

SNSで「今、部屋から出たら見張っている仲間が痛い目に遭わせに行くぞ」と脅して、恐怖でその場から離れられなくした。

対面でなくても、心理的にその場から離れることを著しく困難にしたものと評価されれば、監禁罪にあたります。

不起訴処分獲得に向けた弁護活動

2024年の検察統計調査によれば、逮捕及び監禁罪の起訴率は25.2%です。直近5年間では25.2%~38.2%と年により差異が見られますが、約3件に1件は不起訴となっており、適切な弁護活動によって不起訴となる可能性は十分にあります。

認め事件(被疑事実を認めている事件)の場合

不起訴処分の可能性を高めるうえで最も重要なのは、被害者との示談成立です。示談によって被害者の処罰感情が和らぎ、被害が回復されたと評価されれば、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。

弁護士は、まず事実関係を整理したうえで被害者と連絡を取り、示談交渉を行います。示談の内容には、本人が真摯に反省し謝罪していること、慰謝料等の支払い、被害者が本人を許し、処罰を求めていないこと等を盛り込みます。

また、勤務実績や社会的立場、家庭事情に関する証拠、反省の程度や再犯可能性が低いことなどを示す客観的証拠を収集します。これらの資料をもとに検察官と協議し、必要に応じて意見書を提出します。検察官に「社会内で更生が可能である」という印象を与え、処罰の必要がないと判断されれば、不起訴処分の可能性が高まります。

否認事件(被疑事実を認めていない事件)の場合

本人からの聞き取りを十分に行ったうえで、現場の確認や被害者等の事件関係者からの聴取、被害者とのメールやSNS等でのやりとり、防犯カメラ映像の保全などを通じて、本人にとって有利な証拠を集めることが不起訴処分獲得のために重要です。

こうした活動により、逮捕及び監禁行為がなかったこと、行為について相手の同意があったこと、一定の区域から出ることが著しく困難とはいえなかったこと等を主張していきます。

捜査の初期段階で、本人が逮捕及び監禁行為を行ったことを窺わせるような内容の供述調書を取られてしまうと、その後にその内容を否定することが難しくなります。そのため、初期捜査の段階で本人にとって不利な証拠を作られないよう、取調べ対応について打ち合わせを重ねたり、取調べに弁護士が同席したり、場合によっては取調べを拒否する等の対応をします。

いずれの場合でも、早期に弁護士が関与し、証拠保全や交渉を開始することが不起訴処分獲得の鍵となります。