不同意わいせつ罪
2025.08.15
- #性犯罪事件
不同意わいせつ罪
条文
(不同意わいせつ)刑法176条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
成立要件
不同意わいせつ罪は、(1)性交・性交類似行為以外の「わいせつな行為」をし(例:胸部や陰部への接触、状況によりキス等)、
(2)被害者が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」に〈させた〉又は〈その状態に乗じた〉場合に成立します。
上記「困難な状態」は、条文が例示する一〜八号(暴行・脅迫、心身の障害、アルコール・薬物の影響、睡眠等、いとまの欠如、恐怖・驚愕、虐待反応、地位に基づく影響力)に該当する場面が典型です。処罰の対象は婚姻の有無を問いません。
不起訴処分獲得に向けた弁護活動
不同意わいせつ事件で不起訴を目指すうえで、もっとも重要なのは被害者との示談成立です。示談によって被害者の処罰感情が和らぎ、被害が回復されたと評価されれば、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。弁護士は、まずは事実関係を整理した上で、被害者と連絡を取り、示談交渉を行います。示談の内容には、加害者が真摯に反省して謝罪していること、治療費や慰謝料の支払い、今後一切接触しない旨、相互にお互いの個人情報を漏らさないことなどを盛り込みます。 示談に合わせて、被害届の取下げを得ることでさらに不起訴処分となる可能性を高めることもできます。